オフショアのジギングに必要なタックルや釣り方などについて紹介します。ジギングロッドやリールの選び方、おすすめメタルジグなど、ジギングの基本を詳しく解説します。これからジギングを始める初心者や入門者の方の参考になれば幸いです。
ジギングとは?
ジギングは金属でできたルアー「メタルジグ」を使った釣りの総称。船の上からやるジギングのことをオフショアジギング、陸っぱりからやるジギングをショアジギングと言います。この記事では遊漁船の上からやるオフショアのジギングについて解説しています。オフショアジギングにも種類があって大きく分けると4種類ぐらいあります。この4種類は使用するタックルや水深などでジャンル訳されている感じです。
スーパーライトジギング(SLJ)
20g〜60g前後のメタルジグをメインで使うジギングをスーパーライトジギング(SLJ)と呼んでいます。ポイントにもよりますが、水深も10m〜30mぐらいの浅めのポイントで青物や根魚、イサキやアジ、真鯛やグレといった様々な魚種を狙う事ができます。メタルジグも軽いのでタックルもライトなので色んな人が楽しめるジギングの1つで最近人気があります。
タックルの目安 PE:0.6号〜0.8号 リーダー:3号~5号(20lb)リール:スピニング3000番〜5000番クラス
ライトジギング
前述したSLJよりは重たいメタルジグを使うのがライトジギング。60g〜120gまでぐらいのメタルジグを使い、水深は30〜60mぐらいまでという感じです。中型青物や根魚、タチウオなどをターゲットにしたジギングです。タックルはライトなので割と楽ちんですが、時には鰤などの大型青物が釣れる事もあるので非常に楽しい釣りです。ライトジギングの派生版「ブレードジギング」も非常に楽しいですよ。
タックルの目安、PE:1号〜1.5号 リーダー:4号〜6号(25lb)リール:スピニングSW4000番〜SW6000番クラス
ジギング(オフショア)
通常「ジギング」というと、このオフショアのジギングを指します。使用するメタルジグは100g〜300gぐらいまで、水深は60m〜150mぐらいまでになります。メインターゲットは鰤やカンパチ、ヒラマサなどの大型青物。タックルもヘビーになってくるので、1日やり続けるには体力が必要な釣りになります。ビンチョウマグロを狙うトンボジギング(通称:トンジギ)やベイトタックルでゆったりと誘うスロージギングというジギングなど、同じようなタックルで出来る派生版のジギングがあります。また、近年では電動リールを使った電動ジギングも流行りつつあります。
タックルの目安、PE:2号〜3号 リーダー:6号〜10号(40lb)リール:スピニングSW6000番〜SW10000番クラス
中深海ジギング
中深海の水深200m〜400mという深いエリアの底付近を狙うジギング。使用するメタルジグは300g〜400gを使います。ターゲットは鱈やノドグロ(アカムツ)、やクロムツ、アラなど高級魚と呼ばれる魚が多いです。基本的にはベイトタックルでやるジギングになります。また、水深500m以上を狙う深海ジギングでは700gや1kg近いメタルジグを使いアブラボウズなどの大型深海魚を狙う深海ジギングというジャンルもあります。
タックルの目安、PE:1号〜1.5号 リーダー:3号〜6号(25lb)リール:ジギング用ベイトリール(600mぐらい巻きます)
ジギングに必要なタックル
オフショアのジギングで使用するタックルを説明します。ジギングタックルには大きく分けて2種類あって、1つは「スピニングタックル」、もう1つはベイトタックルです。(1)スピニングタックルは、ワンピッチジャークや早巻き、ハイピッチジャーク(ジャカジャカ巻き)や丹後ジャークなどメタルジグをスピーディーに動かす釣りに最適です。また少しキャストできるので探れる範囲が広がります。ベイトタックルは、ワンピッチやスローピッチと呼ばれるアクションでメタルジグをテンポ良く動かし細かいフォールで釣る釣り方に最適。また、ベイトリールの方が巻き上げ力が強いので、スピニングに比べて楽に魚とやり取りができます。どちらのタックルが良いかは日によって違って、スピニングタックルを使ったメタルジグの速い動きが効果的な場合もあるし、ゆったりとしたスローピッチのような釣りが良く釣れる場合もあります。
基本的にはスピニングタックルの方が汎用性が高いので、速くも出来るし遅くも誘えるので、どちらか1タックルを用意するならスピニングタックルが良いと思います。
ジギングロッド
ジギングにはジギングロッドを使用します。前述した通り2種類のタックルがあり、ベイトリール用ジギングロッド、スピニングリール用ジギングロッドがそれぞれ存在します。どちらも大体5~6フィート前後の長さが主流です。ロッドの選び方は、釣行先ポイントの水深や潮流によって変わりますが、基本的には使用するメタルジグの重量に合わせて選びます(目安は水深の2倍の重量のメタルジグ)。多くのロッドは100g〜300g程度のルアー範囲でロッド強弱が設定されています。鰤などを狙う近海ジギング(水深60m~120m)であれば2番(〜約150g)か3番(〜約200g)のジギングロッドで良いと思います。
○番は商品名末尾の番号です(例:アウトレイジ J60S-3は6ftのスピニング用3番のロッドという事がわかります。
ジギングリール
ジギングで使用するリールはスピニングリールとベイトリールの2種類。釣り場や釣り方によって、スピニングとベイトを使い分けます。ロッドと同じように、釣行先のポイントに合わせて選びます。
スピニングリール
スピニングリールはハイピッチジャークや丹後ジャークなど素早くジグを動かすアクションに有利です。また、ベイトリールに比べてラインの放出がスムーズなのでメタルジグをスピーディーに沈める事ができます。オフショアジギングでは、船長が魚探で魚の群れを探りながらやるので、「今だ!」というタイミングに素早くジグを落とし魚の中にジグを落としてやれるかは釣れるかどうかに結構関わってくるように思います。それとドテラ釣り(船を潮に流していく釣り)の場合、メタルジグを前方にキャストしないと釣りにならない場合(自分の方に潮が流れてきてジグがすぐに船の下側に入り込んでしまう)があるので、そういった時はスピニングタックルが有用になります。
サイズ(番手)
オフショアジギングで使うスピニングリールのサイズ(番手)はSW6000番〜SW10000番ぐらいが多く、一番出番の多いのが8000番クラスでPE3号300mを巻いて使います。ギアについてですが、ハイギア(HG)は1回あたりの巻取り量が多いですがその分巻きが重たく、パワーギア(PG)は巻きが軽いですが、巻取り量が少ないです。どちらを選ぶかは好みですが、パワーに自信のある人はハイギアを選ぶと早巻きに有利。力に自信が無い人はPGモデルを選ぶ方が結果的に楽に巻けるのと疲れないです。
ベイトリール
ベイトタックルのオフショアジギングに必要なのがベイトリール(両軸リール)。スピニングリールよりも種類が少ないです。ベイトリールの特徴は巻取り力が強く、深場で重たいジグを扱う事や魚を楽に釣り上げるのに適しています。また同じタナを何度も攻める場合にクラッチを切るだけでフォールさせられるので手返しが良いです。ラインの放出時はスプールが必ず動くので、その分スピニングよりも着底に時間がかかります。また、メタルジグを素早く動かすハイピッチジャークにはあまり向いていません。船を立てたバーチカルな釣り(糸が垂直な状態の釣り)やフォールを効果的に演出する釣りにベイトタックルが有利です。
ジギングをするアングラーは大体スピニングタックルとベイトタックルの両方を準備されている方が多いです。
サイズ(番手)
オフショアジギングで使うベイトリールの番手ですが、シマノだと200〜300番(オシアジガー1000〜3000)、ダイワだと10〜35番(ソルティガ)あたりになると思います。ベイトタイプは右ハンドルと左ハンドルがありますのでご注意下さい。
ジギングの仕掛け
ジギングの仕掛けを紹介します。ポイントや対象魚によって異なりますが日本海で鰤を狙う場合だと、下記の通りぐらいです。
- メインライン:PE2~3号(300m程度)
- ショックリーダー:フロロカーボンライン30LB〜40LB(5m前後)
- コンビリング:サイズ#5〜#6ぐらい
- ジグ用アシストフック:3/0~5/0
- メタルジグ:100g〜300g(150〜200gを中心に使用)
メインライン
ジギングはPEラインを使用します。PEラインは伸縮性が無く高感度なので深い水深にあるメタルジグの操作に適しているためです。ただし、根ズレや船底にPEラインが擦ったりすると、すぐに切れてしまうので必ずショックリーダーを結束します。PEの太さの目安ですが、8kg〜10kgの鰤クラスを狙う場合はスピニングタックルだとPE3号、ベイトタックルの場合は2号〜3号を300m程度巻いて使用します。
ショックリーダー
ショックリーダーはメインPEラインの4倍が目安とされています。例えば、PE3号使用の場合は3×4=12号(40lb〜50lb)ぐらいとなります。(大体3号のPEラインの強度と同じぐらい)また、ショックリーダーの長さは釣行先のポイントにもよりますが5m前後ぐらいが基準です。
コンビリング(スプリットリング+溶接リング)
コンビリングは、ショックリーダーとメタルジグの接続部分に使用します。ショックリーダーの強度より少し強めぐらいで良いでしょう。シャウトのコンビリングだとサイズ5〜6ぐらいを使用しています。
アシストフック
アシストフックはメタルジグに装着して使用します。オフショアジギング用のメタルジグには基本的にフックは付いておらず別売り。シングルタイプやツインタイプ、細軸、太軸などフックにも種類があります。ツインタイプはフッキング率アップ、太軸は強くて折れにくい、細軸は貫通力が高いので刺さりやすいという特長があります。使用するフックサイズですが、近海のジギングであれば#3/0~#5/0ぐらいまでを良く使います。セミロングタイプのメタルジグであれば、市販の#3/0~#5/0のフックをフロントにセットすれば良いです。
また、アシストフックはメタルジグのフロントと場合によってはリアにも付けます。ハマチや鰤などの青物の場合ベイトの頭から食べにくるのでフロントフックを吸い込むようにフッキングするため基本的にはフロントフックのみで良いです。根魚などが混じる場合は、リアフックを付けておくとお尻からバイトしてくるので、フッキング率がアップします。ただし、リアフックにはデメリットもあって、底取りをした際に根掛かりするリスクが高くなったり、ジグの動きが悪くなる場合もあります。セミロングのメタルジグにリアフックをつける場合は↓のようなショートタイプのフックを装着して使っています。
また、スロージギングではメタルジグの上下のバランスをフックで調整して、ふわふわとフォールさせるためにフロントとリアのどちらもセットするのを推奨している場合もあるので、使用するメタルジグによってもフックセッティングは異なります。
オフショア用のメタルジグの選び方
ジギングの語源にもなっているメタルジグ。鉛やアルミ、タングステン、鉄などの素材で作られたルアーです。形状やカラー、ウェイトが色々あります。選び方としては、まず釣行先の水深や潮流に合わせた重さを決めます。その後、釣り方やその時期のベイトのサイズなどを参考に長さを決定。カラーに関しては何種類かある基本カラーみたいなモノからチョイスすると良いと思います。
ジグの重さ(ウェイト)
メタルジグの重さ選びですが、目安としては水深×2倍となります。水深100mのポイントでしたら100m×2倍で200gという具合です。ただし、水深が浅くても潮流が速いエリアの場合、水深×2倍の重さでも底取りが出来ない場合があります(関西だと明石海峡周り)。そういった事もあるので、船長に何gぐらいのメタルジグを用意すれば良いか事前に確認しておくのが一番確実です。
ジグの重心や形状について
メタルジグは見ての通り基本的には細長い形状です。その中でも、左右(表裏)の形が違ったり、中央部が平たくなっていたり、前後の重量バランスが違っていたりと商品によって変えられています。このメタルジグの形状や重心(バランス)の違いによって、木の葉のようにヒラヒラと左右に落ちていったり、シャくると勢いよく左右にダートしたり、フォールスピードが速くなったり、くるくる回転しながら落ちたりと様々なアクションが付くようになっています。
代表的な形とその特長は下記です。
- 左右(表裏)非対称:左右または表裏の形が異なるので、水流を受けてイレギュラーの動きになりやすい。
- フロントバランス:メタルジグの頭側に重心がきていて、フォール時に前傾姿勢で落ちていく。
- センターバランス:ジグの中心部に重心を取っているメタルジグ。水平になりやすく左右にダートしやすい。
- リアバランス:ジグのお尻側に重心を持たせてあるのでキャストしやすい。フォール時も真っ直ぐに落ちやすい。
最近はセンターバランスで左右(表裏)非対称のメタルジグを多いです
ジグの長さも色々
メタルジグにはロングタイプやセミロングタイプ、ショートタイプなど長さも色々とあって、その時期に捕食している餌に合わせて選ぶと良いです。極端なパターンだと太刀魚パターンと呼ばれる太刀魚の幼魚を捕食している場合なんかは、ロングタイプで銀色のメタルジグがよく釣れたりします。ベイトが小さい時はタングステン製の小ぶりなメタルジグが良く釣れたりします。どのメタルジグが良く釣れるかというのは一概に言えないですが、直近の釣果で良く釣れているジグの長さやカラーを船長から教えてもらうのが良いです。
オフショアジギング用ではショートやセミロングタイプのメタルジグが一番汎用的に使われています。
カラーの選び方
メタルジグの基本的なカラーはアカキン(赤金)、ブルーピンク、フルシルバー、ピンク、ブルー、グリーン、グローの7種類。これにゼブラカラーやグローとのミックスカラーなど各種カラーを混ぜ合わせたようなカラーは用意されています。その時々によってアタリカラーは異なりますが、基本はこの7種類がぐらいからセレクトする形になります。
中でも赤金・ブルピン・フルシルバーの3色は必須カラーだと思います。実際に実績も高いです。ゼブラグローも良いです。
ジギングのしゃくり方(アクション)
ジギングのしゃくり方はワンピッチジャークやハイピッチジャーク(ジャカジャカ巻)、コンビネーションジャークなど。他にもベイトタックルと専用ジグでやるスローピッチジャークなどがあります。
ワンピッチジャーク
リズムよくしゃくって1回巻く、しゃくって1回巻くを繰り返していく方法です。文字で説明しても分かりにくいので参考動画です。↓こんな感じ。スローにやっているので分かりやすいです。※ダズルってのはメタルジグの名称です。
スローピッチジャーク(スロージギング)
スローピッチジャークは専用のジグを用いて行う釣法。リールの巻き方とロッドの反発力を使ってジグにヒラを打たせながら誘う釣り方。ちょっと古い動画ですが、一番分かりやすいので↓
ジギングのラインの結び方
メインのPEラインとショックリーダーを結束する方法はいくつかあります。メジャーなところだと、FGノットやPRノット。大物を狙う釣りなので、しっかりと結束する事が釣果に繋がります。すっぽ抜けたりしたら悔しいですからね。
FGノット
ジギングやシーバスなど、幅広い釣りで活用できるのがFGノット。結束強度も高く、結び目が小さいのでキャスティングにも最適。ちょっとややこしいですが、慣れれば時間もかけずに結束できるようになります。
PRノット(ボビンノット)
PRノットは、ノッター(ボビン)と呼ばれる専用の道具を使って行います。専用の道具を使うだけあって、結束強度も非常に高く慣れれば簡単です。マグロや大型カンパチなどを狙う場合にも使われます。動画ではかなり太いラインを例にされていますが、PE3号ショックリーダー50LBぐらいを使うジギングの時でもPRノットを使っています。私の周りはPRノットを使ってる人が多いです。
その他のジギングの持ち物
タックル以外でオフショアジギングに持っていく持ち物を紹介します。必須レベルのアイテムからあると便利なグッズなど。
必須のアイテム
ライフジャケット
船釣りなので当たり前ですがライフジャケットが必要です。腰に巻くタイプか首からぶら下げるタイプで、桜マーク認証のモノが必要です。忘れた場合は船にも用意されていると思うので、船長に伝えましょう。
大きめのタックルボックス
ドカットやバケットマウスなどの大型タックルボックスがあると荷物も入れられるし座れるので便利。
長靴やデッキシューズ
たまに普通の運動靴みたいな人を見かけますが、水浸しになるし汚れるし滑るしなので、寒い時期は長靴、暖かい時期は水に濡れてもOKなデッキシューズや船釣り用のサンダルみたいなのを用意しましょう。
ジギングで大物を狙いましょう!
オフショアのジギングの最大の魅力は、やはり大型魚を狙える事。もう無理、上がってこない!腕がパンパンになる!という力強い魚達とのファイトが楽しめますよ!なかなか最初のハードルは高いのですが、一度その味をしってしまうとハマる事間違い無しです。ぜひ機会があったらジギングに挑戦してみて下さい!
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