太刀魚テンヤ(船釣り)は関西では昔から人気のある釣り方で「テンヤ」と呼ばれる仕掛けを使います。近年、関東をはじめ全国的にも流行りつつあります。※関東ではテンヤ太刀魚と呼び関西とは反対。そんなタチウオのテンヤ釣りについて、初心者向けにおすすめタックルや釣り方・仕掛けなどを解説します。
タチウオテンヤってどんな釣り?
タチウオテンヤは、名前の通り「テンヤ」と呼ばれる40号前後のヘッド(オモリ)が付いた掛け針に、イワシやサンマなどのエサを巻付け、船上からタチウオを狙う釣り方です。
非常にシンプルな仕掛けで、テンヤのアクション(誘い方)で太刀魚の反応や釣果が大きく変わります。腕の差が出やすい釣りで、同じ日に釣っていても沢山釣る人と釣果が数倍違うといったこともあります。
船のタチウオテンヤ釣りでは、ポイントにもよりますが水深50m〜130mといった沖の深場で釣りをします。なので、陸っぱりのタチウオ釣りでは中々釣れないようなドラゴンサイズと呼ばれるような大型の太刀魚が釣りやすいといったメリットもあります。
シーズン
タチウオテンヤのシーズンは8月頃から2月頃まで。ベストシーズンの10月〜11月頃になると、太刀魚を狙う船が大船団となるぐらい人気のある釣りです。シーズン初期(8月頃)や終盤(12月〜2月頃)の方が大型のタチウオが釣れやすい感じがします。
活性の良い日にあたれば、太刀魚50匹〜100匹と大漁の日もあります。もちろん、渋い日もあって数本しか釣れない事もあります。基本的には直近の釣果を参考にすると、そこまで大きく外れる事はないと思います。
潮について
タチウオテンヤでは小潮が一番おすすめの潮です。潮が大きくなるにつれて渋くなる傾向が強く、逆に潮が小さい方が釣果が良くなる場合が多いです。初めてタチウオテンヤに行く場合は小潮で予約すると良いですよ。また、1日を通して釣れるタイミングと釣れないタイミングがあります。良く釣れている時間帯に手返し良く沢山釣ると釣果が伸びます。
タチウオテンヤのタックルを紹介
タチウオテンヤでは、下記のような基本タックルを使用します。最近はタチウオテンヤ用ロッドやテンヤ針の種類も沢山発売されているので、予算に合わせて選ぶ事ができると思います。
- ロッド:2mぐらいのタチウオテンヤ専用ロッド(先調子の竿)
- リール:小型電動リールや両軸リール
- ライン:PE2号(300m)
- リーダー:フロロやナイロンの10号(40lb)を1m
- テンヤ:40号前後(地域による)
タチウオテンヤ用ロッド
タチウオテンヤで使うロッドは、先調子のタチウオテンヤ用ロッドがおすすめです。長さは180cm〜200cmぐらい。30号〜60号のテンヤが使える設定になっています。また、8:2ぐらいが標準的な調子で、9:1や7:3のタチウオテンヤ専用ロッドも発売されています。
9:1調子:テンヤにアクションを付けやすく積極的にタチウオを誘う時に有利
8:2調子:オールラウンドに使えるロッドで1本持つならこの調子が良い
7:3調子:タチウオテンヤ用としてはもっとも柔らかめのロッドでバレにくい。
使った感じの好みもあるので一概には言えないですが、上記のような特徴がそれぞれあります。
入門モデルは1万円〜2万円、ハイエンドモデルになると5万円〜とかなり幅があります。タチウオテンヤを一度やるとハマると思うので、個人的には最初からそこそこ良いロッドは買っといた方が良いと思いますよ。結局良いのが欲しくなると思います(笑)
電動リールや小型両軸リールが最適
タチウオテンヤでは基本的に電動リールを使います。理由は2つあって、1つはタチウオの棚を正確に把握する事が釣果につながるので、カウンターが必須。もう1つは、40号のテンヤは150gあり結構重たいです。太刀魚のポイントは浅くて50m、深いと100m以上あるので手巻きで頻繁に上げ下げするのは結構大変で手返しも悪くなります。手巻きの両軸リールでもできますが、かなり疲れると思っておくと良いです。それと、電動リールがあると「微速巻き」など独自の誘いができます(微速巻き:低速で巻き上げながらアクションを入れるなど)
リールサイズ(番手)
太刀魚テンヤで使うリールのサイズ(番手)はPE2号が300m巻けるサイズが各社のタチウオテンヤロッドで想定されているリールサイズ。ダイワならシーボーグなどの200番、シマノならフォースマスターなどの400番や600番となります。リールのハンドルはシングルタイプもありますが、個人的にはダブルハンドルの方が誘いがやりやすいので、おすすめです。
電動リール用バッテリー
電動リールのパワーを最大限引き出すためには、リチウムイオンのバッテリーがおすすめです。小型のやつでも1日十分持つので、他の大物釣りなどをしない人なら小さいので良いと思います。価格を抑えたい場合は鉛バッテリーが安価ですが、割りと大きいです。船電源が使える場合も多いので、無くても大丈夫な場合もありますがバッテリーは持ってきている人が多いです。
タチウオテンヤの仕掛け
タチウオのテンヤ釣りの仕掛けはすごくシンプル。メインラインはPEライン2号(300mをベイトリールに巻いています)。リーダーにはフロロカーボンラインの40LB(10号)を1m程度結束して使用します。※PEラインにスナップ付きスイベルを直結し、テンヤに付属しているリーダーを付けてももちろんOKです。こっちの方が簡単。
太刀魚のテンヤ針について
釣具メーカーから色々な種類のタチウオ用テンヤが発売されています。使用するテンヤの重さは船宿指定なので、予約時に船に確認するようにしましょう。地域で異なる場合がありますが、関西では40号を使用することが多いです。また、タチウオの歯は鋭く太いリーダーを使っていても切られてしまうことも多々あります。なので、少なくとも5個は用意しておきましょう。個人的テンヤのロスト最多記録は6個です・・・(涙)
テンヤのカラーの選び方
テンヤのヘッドには色んなカラーがあります。良く使うカラーはグロー(夜光)。他にも赤金やイワシカラー、ゼブラピンクなどのカラーが人気。基本はグローカラーを使い、反応を見ながら他のカラーを試すと良いですよ。カラーチョイスの目安としては、
- とりあえず最初はグロー(夜光)で様子見すると良い
- 濁っている時はグローや赤金を使ってみる
- 澄み潮はナチュラルカラー系
太刀魚の活性が高い時はどんなカラーでも差が出にくいですが、渋い時ほど色んなヘッドカラーを試してみると良いですね。同船している周りの人が何色を使っているかなども注意深く見ておきましょう。ヘッドのカラー違いだけでお隣さんと釣果が異なる事もあります。
タチウオテンヤのラインについて
メインラインはPE2号を使います。リールのサイズにもよりますが、300m程度巻いておくと安心です。太刀魚カッターに切られたり、お祭りで高切れする場合もたまにあるので、糸巻き量が少ないと高切れした場合に釣りができなくなる場合があります。あんまり高価なラインはいらないと思います。私は↓こればっかり使ってます。
2020年に大阪湾では大量のサバフグが発生して、ラインが切られまくりました。その際に効果的だったのが「単色PEライン」の使用でした。サバフグが発生したら単色ラインがおすすめです。
リーダー(ショックリーダー)
フロロカーボンラインの40lb(10号)前後を1m程度結束してショックリーダーとして使います。↑の右側のリーダーが船太刀魚用テンヤに付属していますので、そのまま利用すればOKです。
タチウオテンヤの餌について
タチウオテンヤに巻きつけるエサはイワシやサンマです。乗船する船にもよると思いますが、イワシは付いている場合が多いと思います(1パック無料で追加は有料って場合などもあります)乗船後、釣りが始まる前に持っているテンヤにエサを巻いて準備しておきましょう(私は5個ぐらい巻いてます)。エサがボロボロになったら、すぐにテンヤごと交換して手返しを良くするためです。釣れない時間帯などを有効に活用してテンヤにエサを巻いておくと時合が着た時に良いと思います。
イワシ餌の特徴
船宿が用意してくれている餌が冷凍イワシです。イワシは基本的に喰いが良いのでどんな場合でも使える餌で喰いが渋い場合などに有効です。船宿から提供されるイワシは冷凍されただけのイワシで柔らかく餌持ちは良くないです。塩やアミノソルトなどで〆ると水分が抜けるのである程度餌持ちも良くなるので、船に持ち込んで振りかけると良いです。もちろん、自宅で準備しておくのも有りです。
サンマ餌の特徴
サンマはエサ持ちが良いです。タチウオの活性が高くアタリが多い場合に手返しがとても良くなります。
サンマは船宿では提供してない場合が多いので、釣具屋で買っていくか、自分でサンマを購入して仕込んでいく必要があります。
また、個人的な目安ですが、大体6時間の釣行で5匹分(20切れ)を用意しています。釣り方やその日の状況にもよりますが、タチウオを40〜50匹ぐらい釣って5匹分が無くなります。↓最近はこれを使ってます。
タチウオの誘い方(釣り方)
タチウオテンヤの誘い方(釣り方)としては、まず、船長の指示棚もしくは底を取りアタリが出る層をまず探します。アタリが出る層を発見したらタチウオを誘っていきます。ちなみに、タチウオが高活性の場合はどんな誘い方でもある程度反応してくれますが、活性が低い場合、「誘い」が合わないと全く口を使わない事もあります。自分が全然釣れ無いのに別の人はどんどん釣っているなんて事もありタチウオの誘い方で釣果が変わります。この辺の腕の差が明確にでてくるあたりの奥深さもタチウオテンヤの楽しいところですね。
ロッドアクション
タチウオの基本的な誘い方です。どの誘い方が良いかは、その時々なので色々と試してみましょう。強めのアピールに反応が良い場合もありますし、反対に小さい動きへの反応が良い場合もあるので、その日のタチウオの反応を見極めて釣果を伸ばしましょう。1日を通してテンヤの動きへの反応も変わるので、反応が悪くなったらアクションを変えてみるのも良いです
- ワンピッチジャーク
ロッドをしっかりめにしゃくるワンピッチジャークで3〜5回ぐらいテンヤをしゃくり、数秒(2~5秒ぐらい)ステイを繰り返しながら誘い上げてくる。しゃくり強さは弱め〜強めで試しタチウオの反応を見ながら調整します - ストップ&ゴー
リールを早巻きで半回転〜3回転ぐらいしてストップ、少しステイさせる。を繰り返しながら誘いあげてくる釣り方。リールの回転数(誘い上げる幅)はタチウオの反応を見ながら調整。 - 微速巻き
電動でゆっくり巻き上げながらアタリを取ります。途中でアクションを入れる場合もあります。巻き上げるスピードは、超ゆっくりから、ゆっくり、速めなど反応をみましょう。この誘い方でバンバン釣れる時もあります。 - フォール
超ゆっくりフォールさせたり、すばやくフリーフォールさせたり。フォールへの反応が良い場合にスピードやフォールの距離を変えて色々試してみます。大きくしゃくり上げてからロッドを使ってフォールさせる場合や、あたりのあるレンジ付近をサミングしながら落としていく場合など色々。高活性時にフォールばかりやっていると切られるので注意しましょう。 - シェイク
テンヤを一定の層でシェイクしてタチウオにアピールします。6〜10回ぐらいシェイクしてピタッと止めると「コツンっ」とアタリがでるような感じです。 - バイブレーション
ロッドをシェイクし、テンヤを細かく動かしながらゆっくりと巻き上げてくる釣り方。電動の微速を入れながらでも良いし、自分でハンドルを回しながらでも良いです。巻き上げるスピードで反応が変わったりします。 - ロングステイ(動かさない)
一定層にテンヤを放置します。テンヤを動かしたくなりますが、何もしない方が良い場合もあります。10秒ステイが良かったり20秒ぐらい止めておいた方が良かったり。
上記を組み合わせたり、独自の誘い方をするなど釣り人によってタチウオの誘い方も千差万別。色々試して、その日・その時間帯の誘いのパターンを探りましょう。
合わせ(フッキング)のコツ
タチウオを誘っていると「コツンっ」とアタリが出るのですが、このコツンっは前アタリ。これを合わせてもフッキングしません。合わせたくなる気持ちを、グッとこらえて本アタリがでるまで誘い続けます。そして、竿先を引き込むような本アタリを感じたら「キュっ」と素早くロッドをあげて合わせましょう。竿を大きく上げすぎる必要ないです。「キュっ」とコンパクトに鋭く合わせるのがコツ。文章だと簡単ですが、なかなか本アタリがでない事も。これが楽しいんですけどね。
タチウオテンヤの持ち物
タチウオテンヤに持っていくモノをまとめておきます。
必須アイテム
- キッチンバサミ:タチウオを〆たりエラを切って血抜きに使います。イワシの頭を落として針に付ける場合もある
- クーラーボックス:30L〜35Lぐらいが最適なサイズ
- フィッシュグリップ:歯が鋭いので、やっぱちょっと怖いからあると安心。太刀魚KOバサミが安くて使いやすくおすすめ。
- ライフジャケット
- 長靴
- タオル:手が餌で汚れたりするので無いと辛い
- 予備のリーダー:40LB(10号〜12号)ぐらいのフロロカーボンリーダー
- スナップ付きスイベル:ダイワ「DスイベルSS」3番ぐらい
あると便利なアイテム
- 竿受け:無くても何とかなりますが、竿受けがあるとかなり便利。おすすめはチビラーク ロング タイプS。ロングタイプじゃないと取り付けできない船があります。
- 探見丸:水深やタチウオ層の把握などに便利。20探見丸
- 絆創膏:たまにタチウオの歯があたって切れる事があります。なかなか血が止まらない。
タチウオテンヤ船ってどんな感じ?
乗船から納竿までの流れを書いておきます(関西の場合)
- AM3時〜4時頃に現地集合(時期や船宿によります)
- 釣座を決定(予約順や抽選など)
- 乗船名簿に記帳
- 5時頃に出船(時期や船宿によります)
- 乗船したら釣座に座って準備
- ロッドやリールの準備
- 竿受けや探見丸を船べりに設置
- テンヤに餌を巻く
- ポイントまで船室や座席でゆっくり
- ポイントまで移動(30分〜1時間ぐらい)
- AM6時頃から釣り開始
- お昼12時頃に納竿し帰港
- 釣果写真を撮ったり撮らなかったり。
※支払いは前払いや後払いなど船宿によって異なります。
タチウオテンヤ船は割と大型な船も多いので、天気が悪くなければ初心者でもトライしやすい釣り船だと思います。
タチウオテンヤを始めよう!きっとハマるはず
タチウオテンヤ釣りはシンプルなタックルと仕掛けですが、誘い方1つで変わる太刀魚からの反応などが奥深い!良い日にあたれば初心者でも沢山釣れると思います。それと数はもちろんびっくりするぐらい良く引くドラゴンサイズのタチウオが釣れるエキサイティングな釣りです。釣っても楽しい食べても美味しい、タチウオテンヤでビッグサイズの太刀魚を狙いましょう!きっとハマりますw
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